社内恋愛発令中【完】
もう一度うんと背伸びをして、帰る準備をする。



必要なファイルや、家でまとめる書類、まるで宿題のようだ。



息苦しいスーツのボタンを外し、ふうと息を漏らす。



静寂が包む社内に、時計の音だけが響き渡っていた。



と、



___ガチャ



扉が開く音がしたかと思うと、顔を覗かせたのは蒼井さんだった。



「1人ですか?」



「あ、はい!今から帰るところです!」



どうやら荷物を取りに来たらしく、蒼井さんは自分の席へ歩いて行く。



「あお…部長もお帰りですか?」



「えぇ。今日はとりあえず」
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