社内恋愛発令中【完】
「黒川さんはどうにか運転手に住所言えてたけど、双葉はぐっすり眠っててタクシーに乗せられなかったし」



グサッと胸に矢が刺さるような気分。



途中から記憶がないのは、眠ってしまったからだったのか。



「車で俺の家行こうと思ったけど、俺も酒飲んでるし、それに…」



そこで蒼井さんは言葉を一度切る。



そして外に向けていた視線をあたしに移し、眉を下げて笑うと言った。



「双葉を家に連れ込むわけにいかなかったよ」



「っ」



何故か胸が鳴ってしまう。



泳ぐ目を、蒼井さんに合わすことができない。



動揺しているのがバレバレだ。



「お、おき、お気遣いどうも…」
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