社内恋愛発令中【完】
そんな状況で、言えたのはこれくらい。



蒼井さんはプッと吹き出し笑った。



「ほんと、飽きないな双葉さんは」



雲に隠れていた月が顔を出し、笑う蒼井さんの顔を照らす。



訳が分からなくなるくらい、蒼井さんの笑顔が綺麗に見えた。



言葉を失うって、きっとこういうこと。



トクン、と心臓が大きく、そしてゆっくり脈を打つ。



自然に笑みが漏れた。



「アルコール抜けたかな俺」



ハア、と息を吐いて確かめる蒼井さん。



自分では分からないらしく、何度も息を吐いている。



「自分じゃ分からないな…」
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