社内恋愛発令中【完】
「確かめてくれるんだろ?」



月の光の影が蒼井さんに落ち、妖艶な笑みが更に怪しく光る。



この状況を楽しんでいるようだ。



「こ、言葉の綾です!確かめられるわけ…っ」



「味で分かるんじゃない?」



そう言って、蒼井さんはその整った顔を近づけてくる。



「あ、味って……な、なな、何言ってるんですか蒼井さん…!」



その肩を押し返したいのに、緊張して力が入らない。



自分の熱で溶けてしまいそうだ。



「蒼井さん…っ」



唇に蒼井さんの吐息を感じたとき、



その距離、わずか数ミリで動きを止められた。
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