社内恋愛発令中【完】
振り返ると、蒼井さんがパソコンを起動させてくれていた。



その目はあたしのことを睨むように見ている。



「何があった」



驚くほど状況判断が早い。



下ろしたバッグを机の下に入れながら、あたしは笑顔を作った。



「ちょっとお腹痛くて…」



「違うだろ」



蒼井さんの目は、全てを見透かすように真っ直ぐだ。



あたしはその目を見ながら、キョトンとした顔を見せる。



「他に何もないですよ〜」



ただの嫌がらせかもしれない。



ちょっとした出来心だったかもしれない。
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