社内恋愛発令中【完】
不安になるにはまだ早い。



そうだ、もしかしたら今日だけかもしれない。



言うほどのことでもないんだ、と自分を落ち着かせて自然な笑みを浮かべる。



蒼井さんはそんなあたしを見ると、そっか、と頷いてくれた。



「この前、食事会した黒川さんの会社と契約できたよ」



自分の椅子に腰を下ろしながら、蒼井さんはパソコンから目を逸らさず言い放つ。



「え、本当ですか!?」



「黒川さんが頼んでくれたらしい」



あの日あまり役には立てなかったけど、終わり良ければすべて良しだ。



あたしは気を取り直して仕事に集中する。



時間が経つと、全てを忘れることは難しくても、あまり深く気にすることはなくなった。
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