社内恋愛発令中【完】
「今出たら確実に捕まるよ」



捕まりたいならどうぞ、と挑発気味な蒼井さん。



「じゃ、じゃあどうしたらいいんですか…」



「パンあるけど食べる?」



パンを掲げ首をかしげる蒼井さんに、あたしは一瞬ためらいながらも頷いた。



遥さんに今日は一緒に食べられないことを連絡し、蒼井さんからパンを受け取る。



「なんで蓮也さん、あんなに秘書を必要としてるんですかね」



「秘書じゃなくて、双葉が欲しいんだろ」



袋を開けようとした手を止め、ハアと溜め息。



「蓮也さんも蒼井さんも、冗談が過ぎます」



人のことからかって楽しんでるに違いない。



もう引っかからない、と蒼井さんを睨んだ。
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