社内恋愛発令中【完】
蒼井さんには勝てない。



「双葉は俺の秘書を辞めないよ」



見上げた顔。



「ど、どうしてですか?」



ふふん、と鼻を鳴らして。



「何で秘書になったか忘れた?」



あ、と声を漏らす。



そうだ、あたしが秘書になったのは、蒼井さんに恩があるからだった。



そんなことさえ忘れるくらい、秘書が仕事になっていたんだ。



「それに、」



蒼井さんがあたしを見て、口角を吊り上げる。



「俺が許さない」
< 188 / 355 >

この作品をシェア

pagetop