社内恋愛発令中【完】
『ふざけんなよ!上司だせよこの野郎!!』



ハッキリと聞こえたその声は、外に漏れるほど荒ぶっているようだ。



蒼井さんは大きな溜め息を漏らすと、



「上司は俺だよ。その商品はうちのじゃねえ、間違い電話だ。他あたってくれ」



まだ大声を発しているのを尻目に、ケータイを耳から離し通話を切る蒼井さん。



開いた口が塞がらないとは、まさにこのことだと思う。



今日会った蒼井さんの声は、どちらかと言えば高い方。



優しい笑顔と温かい目をしてて、みんなが憧れるような男の人。



「ぶ、部長…」



こんな言葉、遣う人には見えなかった。



「お恥ずかしいところお見せしてしまって、申し訳ない」



「い、いえ…」
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