社内恋愛発令中【完】
「双葉?」



「ちょ、ちょっと、お水飲んできます…っ」



「お、おい!」



蒼井さんの横を通り過ぎて、もつれる足でトイレまで走る。



鏡に映る自分は、これでもかというほど青ざめていた。



電話までしてくるくらい、あたしに恨みを持った人がいる。



自分に向けられた恨みの強さに、あたしは震えが止まらなかった。



水で顔を洗い、どうにか正気を戻させる。



深呼吸を何回も繰り返し、脈拍を正常に戻させた。



よし、と呟いて、部長室へと戻る。



戻るまでの廊下でさえ、怖くて後ろを振り向けない。



(笑顔でいないと…)
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