社内恋愛発令中【完】
蒼井さんも人間だ、イライラしたら言葉だって汚くならだろう。



それくらい当たり前のことだ。



「双葉さん」



「は、はい」



だけど、



「さっきの電話、聞かなかったことにしてくれますか?」



「あ、はい、え、何でですか?」



「あとあと面倒になるから」



口元だけで笑って見せる蒼井さんには、二重人格の影が見え隠れする。



ゾクッと背筋が凍った。



「じゃあ帰りましょうか」



そう言って笑う蒼井さんが、あたしの前に立った。



何事かと、頭1つ分以上離れた蒼井さんを見上げる。



「?」
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