社内恋愛発令中【完】
(蒼井さん…)



あたしはケータイを取り出し、蒼井さんに電話をかけようと試みる。



手の震えが、画面に触れるあたしを焦らせた。



やっとのことで蒼井さんの名前を表示し、通話ボタンを押す___



しかし、



その通話ボタンが押されることはなかった。



ハッと顔を上げると、そこにはあたしのケータイを取り上げた人影。



暗くて顔が見えないが、女の人だということは分かる。



「だ、誰…?」



ケータイの明かりに照らされたその女の人が笑う。



「いつまでも部長に迷惑かけないでよ」



「…な、何で…」
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