社内恋愛発令中【完】
どうして謝られたのか分からず、蒼井さんを見上げた。



「俺の帰りを待ってたから、あんな遅い時間に薬を買おうとした」



蒼井さんの切ない眼差しに、あたしはかける言葉を失う。



「怖かったよな」



ごめん、ともう一度謝る蒼井さんに、あたしは首を振った。



「蒼井さんは悪くないです…やめてください」



いつも迷惑をかけて、助けてもらってるのはあたしなのに。



「やめてください…」



下を向いて涙を堪えるあたしの頭に、手を置いた蒼井さんが言う。



「俺がなんとかしてくるから」



あたしはただ何度も頷く。



時計が、蒼井さんの出勤時間を知らせていた。
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