社内恋愛発令中【完】
重ねたお皿をキッチンに運びながら、誤魔化すように笑った。



「蒼井さんも蓮也さんも、今日なんだかおかしいですよ」



蒼井さんに背を向ける状態で、あたしはお皿を洗おうと腕をまくる。



お湯を出すと、その音があたしを落ち着かせてくれた。



「2人してお仕事疲れてるんじゃないですか?」



お皿を洗い出すと、周りの音はほぼ聞こえない状態になる。



「蒼井さんも蓮也さんも、あたしが誰を好きかなんて別に___」



だから気がつかなかった。



「そろそろさ、」



「…!?」



蒼井さんがあたしの後ろにいたことなんて。



「俺のことも名前で呼んでよ」



後ろから抱きしめるように、あたしの両サイドに手をつく蒼井さん。
< 261 / 355 >

この作品をシェア

pagetop