社内恋愛発令中【完】
そこには、あたしから目線を外し、お酒を口に含む蒼井さんの姿が。



雰囲気とは違って、普通な蒼井さんに拍子抜け。



睨まれているように感じたのは気のせいだったかもしれない。



「俺のこと、そういう風に見てたんだ」



だが、淡々とした顔で言う蒼井さんには、説明できない雰囲気があった。



怖いとも、冷たいとも取れないその表情に、あたしは返答ができない。



「心外だな」



ふっと笑って再びお酒に口をつける蒼井さん。



その笑みに鳥肌が立った。



「だ、だって、いつも人のこと面白がって…」



心外かどうかは、あたしの普段の思いを聞いてからにしてほしいと、説明をし始める。



「あたしだけ恥ずかしくて、緊張して、焦って慌てて」
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