社内恋愛発令中【完】
口の端からお酒が零れ落ちた。



「…っちょ…っと」



押し返すと、蒼井さんは零れたお酒を拭いながら妖艶に微笑む。



その色っぽさと言ったら、頭がクラッとしてしまうほど。



「ど、どうして…」



「百歩譲って、俺が女に慣れてたとして」



お酒のせいなのか、それとも別の何かのせいか、顔が熱かった。



「慣れてる女の1人なんて、家に入れねーよ」



「…え…?」



「バカでも分かるように言うよ」



蒼井さんがあたしを真っ直ぐに見て、あたしの好きな笑顔を浮かべる。



「好きなんだよ」
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