社内恋愛発令中【完】
あたしが心配になったのか、蒼井さんがあたしの顔を覗き込む。



その近さに、キスされたことを思い出し顔が熱くなってしまった。



「熱でもある?」



「な、なな、ないです…!」



自分でも自分がひどい。



あんな夢、見せる必要があるだろうか…。



「それとも」



と、蒼井さんが唇の片端を持ち上げて笑う。



「俺に何かされる夢でも見た?」



「っ」



夢の中でも余裕だった蒼井さんは、やはり現実でも余裕な態度。



そしてあたしは夢の中と同様、からかわれていると分かっていても顔を熱くしてしまう。
< 279 / 355 >

この作品をシェア

pagetop