社内恋愛発令中【完】
ただ息をしているだけなのに、楽しい気分になる。



蒼井さんが少し前を歩くだけで、幸せな気持ちになる。



「あ、雑貨屋さんありますよ!」



ここなら蒼井さんの手を引いても、何も怪しまれない。



不思議に思われることもない。



「あ、これ芳香剤。いい匂いですよ」



「ほんとだ」



繋がった手のまま、蒼井さんは離そうとしない。



緊張や恥ずかしさがいつも以上にあった。



だけどこの離したくないという幸せな気持ちが、その手を解こうとはしない。



繋がったままでいいという、暗黙の了解を壊したくない。



「あ、このマグカップ可愛いですよ!」
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