社内恋愛発令中【完】
少しショックを受ける胸の奥。



「双葉」



蒼井さんが急にあたしを呼び、肩を抱き寄せた。



「この2つ買おうか」



「え?この2つって……え!?」



肩を抱き寄せられたことより、お揃いになってしまうマグカップを買うということに驚く。



これではまるで、本当にカップルのようだ。



「い、いいんですか…?」



「何でダメなんだよ」



そう言って笑うと、蒼井さんは手を離してレジへと進んで行ってしまった。



いま起こっていることが信じられなくて、あたしは呆然と立ち尽くす。



蒼井さんが何を考えているのか、秘書として働いて少し経つ今でも分からない。
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