社内恋愛発令中【完】
「え?」



「元気すぎたかと思えば、そうやって静かになるし」



「だ、だって…」



そこまで言って言葉を詰まらせた。



蒼井さんが分からないから、と言えばそれまでだ。



だけどそれを言ってしまったら、もしかしたら今の2人でいられないかもしれない。



期待にはいつも不安がつきものだ。



「せっかく来たんだから、双葉らしくバカみたいに騒いでてほしいけど」



「バカって…」



ふっと笑う蒼井さんの表情が悪戯なのに優しくて、胸が疼く。



あたしは、蒼井さんのその言葉にできない表情が好きなんだ。



呆れているようで見守っているような、表現できないような表情。
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