社内恋愛発令中【完】
2階、3階へと上り、コスメのお店へと入る。



だけど考えてしまうのは、今の状況ばかり。



集中して買い物なんてできるはずがない。



あたしを見つけた方と1日一緒だなんて、よく考えてみれば勝手な話しだ。



あたしが一緒にいたい方と一緒にいるという選択は…。



あたしはもちろん蒼井さんといたい。



少しだけ早くなる脈も、あの安心感も、蒼井さんの隣でなければ得られないもの。



どこかに隠れて、蒼井さんを見つけたら自分から向かっていけばいい。



蓮也さんには悪いけど、1日一緒にいるなら、一緒にいたいと思う人と一緒にいたい。



そう思い、あたしはそのお店に体を隠すことにした。



周りのお客さんからは、ジロジロと視線が送られてくる。



たまに口紅やチークを手に取りながら、お客さんのフリをして、エスカレーターを注意深く視界にいれるという作業。
< 293 / 355 >

この作品をシェア

pagetop