社内恋愛発令中【完】
蓮也さんがこんなゲームをする理由が、あたしにあるのだとしたら、蓮也さんはあたしをどう思ってるのか。



頬にキスをした理由と、一緒にいたい理由が同じなのだとしたら、少し察することができる気持ち。



でも本当にそれが蓮也さんの気持ちだろうか。



自惚れているようで嫌になる。



もしそれが本当でも、あたしは気持ちに応えることはできない。



キョロキョロと蒼井さんを探しながら、そんなことを考える。



今は蒼井さんを早く探す方が先決だ。



そう考えて、目を凝らして蒼井さんを探す。



メンズの服屋、アクセサリー店、香水店と、通り過ぎるお店を全て見て行くが、蒼井さんらしい人影はない。



一体どこまで行ってしまったのか。



広すぎる空間で1人、急に心細くなる。



こんなに広いのに、隣に誰もいないこの状況に不安になる。
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