社内恋愛発令中【完】
奥歯を噛み締め、向きを変えて探し出そうとしたその瞬間。



さっきマグカップを買ったお店に、蒼井さんの姿を見つけた。



「…!」



蒼井さんがそこにいたことに、理由はないかもしれない。



だけど嬉しかった。



2人だけの場所な気がして、どうしてか胸が疼いた。



「蒼井さ____」



名前を呼んで、走り出そうと地べたを蹴る。



が、



「っ」



その腕は、誰かに掴まれる。



ハッとして振り返るとそこには、焦っているようで、安心した表情の蓮也さんが。
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