社内恋愛発令中【完】
「…何でだよ」



低く震えた声が響く。



「蓮也さん…?」



呼びかけると、蓮也さんは見たことないような切ない目を見せた。



「ごめん…好きなんだ。詩苑ちゃん」



ギュッと心臓が苦しくなる。



嬉しかった。だけど悲しかった。



それは自分の気持ちのせいでもあるけど、蓮也さんの答えが分かっているような表情のせいでもあった。



「俺じゃダメ?」



蓮也さんの苦笑いが、今までで1番苦しそうで。



「…ごめん、なさい」



目を逸らすことしかできない自分。
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