社内恋愛発令中【完】
「誰かを比べて、蒼井さんを好きになったわけじゃないです」



だけど止まらない言葉を止める気もなかった。



聞いてほしいと、蓮也さんを見つめる目を逸らす気もなかった。



「蒼井さんが蒼井さんだから好きになったんです。蓮也さんが劣ってるとか、負けてるとか、そんなの関係ない」



蓮也さんがあたしを見つめる。



きっとこの目を逸らしてしまったら、何か終わってしまうと。



どうしてかそう思った。



あたしは自分で自分を頭の悪い人間だと思ってる。



理解力もない記憶力もない学力だって。



だけどそういうところではないどこかで、蒼井さんを好きになった。



分かってほしかった。



あたしの言いたいことが伝わってほしかった。
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