社内恋愛発令中【完】
「ほんと…おもしろいね詩苑ちゃん」



ふっと表情を和らげた蓮也さんに、さっきまでの悲しい表情は見えなかった。



口角を上げて優しく笑うその姿は、いつもの蓮也さんが戻りつつある。



「俺が詩苑ちゃんを好きなように、詩苑ちゃんは部長が好きってことだよな」



「はい…!」



「そんな元気よく返事しないでよ…」



あたしは頭が悪い。



だけど学生のときより大人になっている。



こういうときに言うべき言葉が分かるんだ。



「ありがとうございます。蓮也さん」



言えば、蓮也さんは微笑んで



「こっちこそ、聞いてくれてありがとう。…戻ろっか」



優しく和らいだ表情に、いつもの蓮也さんがいた。
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