社内恋愛発令中【完】
かけられた声に反射的に返事をしたが、桜瀬さんの声ではないことに気づく。



咄嗟に振り向くと、そこにはパソコンを覗き込む蒼井さんの姿。



「あ、え、ぶ、部長!?」



「…っ、なんですかそんな大きな声だして…」



ビックリして大声を出してしまうあたしを、しかめっ面で耳を塞ぐ蒼井さん。



「あ、ごめんなさい!…それより桜瀬さんにお会いしましたか?」



「桜瀬さん?会ってないですけど…どうしてです?」



行き違いになってる!と辺りを見回してみても、桜瀬さんの姿はもちろん見当たらない。



「さっき桜瀬さん、部長に用があるってここ出て行ったんですけど…」



「あー、今まで仕事してて…もしかしたら行き違いになってるかもしれませんね」



それほど重大ではないからと、蒼井さんは冷静だ。



行き違いくらい何ともないのは確かだけど…



もし急用だったとしたら大変、と1人アタフタする。
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