社内恋愛発令中【完】
「そんなに焦らなくても、すぐ戻ってきま「部長!」



蒼井さんがあたしをなだめようと声をかけると、桜瀬さんが扉の方からこっちに向かって歩いてきた。



(よかった、長い時間行き違いにならなくて…)



「もう部長!どこ行ってたんですか!探しましたよ!」



少し眉を釣り上げて部長を睨む桜瀬さんだったけど、それもそれで可愛い。



なんて、なんだか自分が変態になったみたいだ。



「どこって…仕事してましたよ。コーヒーを飲みに戻ってきただけです」



「昨日のこれ…まとめました」



そう言って桜瀬さんは、昨日蒼井さんに直してほしいと渡された資料を差し出した。



蒼井さんはそれを受け取り、絵に描いたような笑顔を浮かべる。



「ありがとうございます。助かります」
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