社内恋愛発令中【完】
波打つ音も聞こえなくなる瞬間だった。



夢のような瞬間を味わった。



だけど夢じゃない。



何度も願った現実なんだ。



「ず…っずっと、からかわれてるって、思ってて…っ」



あの日、もし痴漢がなかったら。



「あたしの反応が、面白いのかなって…っ」



助けてくれたのが、蒼井さんではなかったら。



「遊ばれてるだけだって、思ってて…っ」



職場が同じでなかったら。



いつかの言葉、行動がなかったら。



あたしたちは今、ここにいなかった。
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