社内恋愛発令中【完】
涙が蒼井さんの顔を遮ってしまう。



泣きたくないのに、堪えたいのに。



「あたしも…、蒼井さんのこと、ずっと____」



言葉の途中、頭の後ろに回された手。



目の前に蒼井さんの伏せられた目が見える。



夕陽がゆっくりと、



沈んでいった。



「…ごめん。自分抑えるの忘れてた」



離れた温もりに、蒼井さんがおどけて見せる。



「もう…」



心臓が大きく脈打って、少し苦しい。



だけどこの苦しさも幸せに感じた。
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