社内恋愛発令中【完】
「…はい」



まるで他人のような振る舞い。



蒼井さんとまともに話したのはいつだろう。



思い出せないほど昔なような気がする。



「…はぁ」



椅子に座り、資料を並べた。



資料がぼやけていく。



すぐ涙が出てしまう性格なんとかしたいと思うのに、なかなか直せない自分に腹が立つ。



袖で何度涙を拭っても、拭えば拭うほど悲しくなっていった。



(ぜんぶ蒼井さんが悪い…)



寂しいのなんてあたしだけ。



触れたいのなんてあたしだけ。
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