社内恋愛発令中【完】
「も、もちろんです…部長が言ってた通り、部長が心配して見にきてくれただけです…」



その顔が怖くて、あたしは桜瀬さんを探るように言葉を発する。



「そっか!ごめんね変なこと聞いて!」



と、桜瀬さんはコロッといつもの笑顔に戻り、えへへと笑った。



「い、いえ…」



苦笑いで頷くあたしを知ってか知らずか、桜瀬さんはあたしのパソコンを指差しながら説明をし始める。



その言葉に頷きながら、さっきの桜瀬さんの姿を思い出して身震い。



怒らない人ほど、その気になったら手に負えないと、いつか誰かに聞いたことがある。



あたしは桜瀬さんの笑顔を消した表情を思い出しては消して、その説明に耳を傾け集中した。



___________



「桜瀬さん?」



「うん…なんか部長のことになると怖くて」
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