社内恋愛発令中【完】
まだ始まったばかりだ、焦らずに…と息を吐くあたしに



「双葉さん!」



声がかかる。



振り向くと、あたしの方へ歩いてくる蒼井さんの姿。



「部長?」



「桜瀬さん見ませんでしたか?」



キョロキョロと辺りを見回し、桜瀬さんの姿を探す蒼井さんに、あたしは桜瀬さんの机を見ながら言う。



「桜瀬さんなら、ついさっきお帰りになりましたよ?」



「帰った?」



「はい。10分ほど前に」



時計を見てだいたいの時間を告げると、蒼井さんは困った顔をして顎に手を添えた。



どうやら何か用があったらしい。
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