社内恋愛発令中【完】
あたしはやれるか分からない仕事を引き受けたのに、何故か晴れ晴れとした気持ちになった。



「ありがとうございます!」



「資料、隣の部屋にあるので、ついてきてもらえますか?」



蒼井さんが隣の部屋を親指で差しながら、あたしを見る。



頷くと部屋に向かって歩き出す蒼井さん。



あたしはその背中を追って歩く。



部屋は本当にすぐ隣にあった。



中へ入ると、奥に机と椅子があり、回りはびっしりと資料が本棚に詰まっている。



「ここって…」



呟くと蒼井さんが振り返って微笑んだ。



「私がいつも1人で仕事してる場所です」



資料のせいなのか、どこか緊張感がある中に、部屋の広さが持つ余裕。
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