社内恋愛発令中【完】
だけど今目の前にいるのは、例えて言うなら悪魔のような顔をした蒼井さん。



口の端を持ち上げ、見下ろす目を細めている。



「嫌いじゃないですよ、双葉さんみたいな性格」



「あ、え、」



「二重人格、ね」



怪しく笑う蒼井さんに、もはや部長の影は残っていない。



まずいことを言ってしまった、と今更慌てるあたし。



ふっと笑った蒼井さんは



「じゃあそれ、よろしくね双葉さん」



あたしの頭に手を乗せると、部屋から出て行った。



ビクッと上がった肩が下がらない。



もしかして、見てはいけないものを見てしまったのではなかろうか…



焦るあたしを置いて、扉の閉まる音が響き消えていく。
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