社内恋愛発令中【完】
ファイルを抱え込み、いつもの仕事場へと戻る。



「え、えと…こ、このたび……」



資料に書いてある文をパソコンで打つ。



簡単な仕事のはずなのに、さっきの蒼井さんが頭にチラついてしまう。



同様して手が震える。



『俺のこと、よく見てるんだ?』



眼鏡の奥からあたしを見下ろす、切れ長の目が頭に焼き付いて離れない。



あれがあの部長?なわけない、と考えては首を振っての繰り返し。



一行打つのに10分以上かかってしまう始末だ。



これではいけないと考え事をしないようにするが、考え事をしないということが考えてるってことに…



ああもうと頭をかく。



ペースが乱れて仕方がない。
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