社内恋愛発令中【完】
蓮也さんの方を見つめて目を輝かせるあたしを見た桜瀬さんは、あたしの背中をポンっと叩いて



「応援してるよ!」



だなんて。



「ちょ、ち、ちがっ、やだ桜瀬さん!」



否定するあたしを、桜瀬さんはハイハイと軽く流してくる。



そのまま仕事に向き直ってしまった桜瀬さんに、もはや弁解の余地はない。



確かに蓮也さんはカッコ良くて、紳士で、部下想いのいい人。



「も、もう…」



なんだか慣れない気持ちに、ドキドキと高鳴る胸が止められない。



違う違う、そんな気持ちじゃない。



分かっていても、手元が落ち着かず、キーボードを打つ手が動揺している。



(桜瀬さんが余計なこと言うから…)
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