社内恋愛発令中【完】
「ちょ、ちょっと部長〜」



頭に花びらを乗せたあたしを、蒼井さんが盛大に笑う。



「なにするんですかもうっ」



頭の花びらを落としながら声を荒げると、蒼井さんが謝りながら近づいてきた。



身構えるあたしに、蒼井さんが手を伸ばす。



「花びら落とすだけだよ。じっとして」



目の前であたしの髪についた花びらを取る蒼井さん。



その表情は、仕事をしてるときでも、絵に描いた笑顔を浮かべる顔でもなく。



自然な笑みを浮かべる優しい顔だった。



夜桜を照らすライトが蒼井さんの顔を照らして、どうしてか色っぽく見えてしまう。



蒼井さんの端正な顔立ちを際立たせるには充分だった。



蒼井さんの手が髪に触れるたび、少し胸が鳴ってしまう。
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