社内恋愛発令中【完】
「部長!お弁当作ってきたんです!よかったらご一緒にどうですか〜?」



と、そこへさすが桜瀬さん。



蒼井さんを見つけるなり、我先にと走ってくる。



桜瀬さんの方のブルーシートには遥さんも混じってるらしく、できればあたしもそっちに行きたい。



だけど蓮也さんが、ここから動くなよという雰囲気を解いてくれなければ、あたしは動くことができない。



「本当ですか?ぜひ」



蒼井さんは絵に描いたような笑みを浮かべて、桜瀬さんのあとをついて行ってしまった。



「部長も美人には弱いみたいだな」



そんな蒼井さんを見た蓮也さんは、その背中を見ながら笑っている。



「でも詩苑ちゃんはここにいてもらうよ〜」



「あ、あはは…」



遥さん…と心の中で呟いた声は、誰に拾われることもなく、心の中で消えた。
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