太陽に愛された向日葵
第1章
黒い彼の噂
「ひまり、今日から新学期なんでしょ!起きなさーい!」
ポカポカ、あたたかい日差しにまどろむわたしに、
無遠慮に布団を引っぺがした母。
のそのそと起きると、頬をつねられた。
「いひゃい」
「すみれはもう家出たわよ、お姉ちゃんなんだからしっかりしなさい」
すみれとは、実の妹だ。
中学3年生にして化粧っ気があり、最近できた彼氏に
うかれている。
起こしてくれた母は部屋を出て、父を起こしに行く。
もうこれはデフォだ。日課。
歯を磨いて顔も洗ってリビングに行くと、眠そうな父と挨拶を交わす。
「かーさん、目玉焼きはマヨネーズだと言って…ぐぅ」
いつも通り食べながら寝る神技を披露する父を横目に
朝食を食べ終わり、そのままスクールバッグを手にする。
「行ってきまーす」
「行ってらっしゃ……あんた、パジャマのままじゃない!早く着替えてこい!」