太陽に愛された向日葵






「あれ、志麻さん?髪切ったんだ?」



廊下を1人で歩いていると、サッカー部の男子数人引き連れた爽やか小鳥遊くんが笑顔で覗き込んできた。



モテ男は小さい事でもすぐ気がつくんだな。


周りにいる数人の男子たちがわたしを値踏みするように見るから、非常に気分が悪いけど。




「うん、昨日髪切ったよ」

「はは、似合ってるね。可愛い」




女の子のことを軽そうに可愛いと言う男は、信用できないから気をつけなよ。
秋ちゃんにこないだ言われた言葉だ。


わたしは恋愛経験も無いし、恋愛したいと思ったことがないから、その時はあまりピンと来なかったけど。




そうか。こういう感じか。



小鳥遊くんの眩しい笑顔で言われると若干照れるが、お主可愛い彼女がいるんだろ。

彼女じゃない女の子に気安く可愛いとか言っちゃダメだろう。





ありがと、と流して小鳥遊くんと別れて歩き出す。


背後からモブ男たちが不満そうに大きな声でわたしに聞こえる悪口を言う。



「あの子さぁ、顔いいのに性格キツイよな。俺絶対むり」

「愛想ねぇもんな。ありゃ彼氏も出来ねぇだろ」




ちょ、お前ら辞めろって…と小鳥遊くんの焦った声も遅れて聞こえてきたけど、わたしは足を止めない。振り返りもしない。






性格キツイ…って。

わたしの性格知ってんのかい。
わたしはアンタ見たの初めてなんだけど。






胸糞悪い。
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