太陽に愛された向日葵


いつもは電車に乗り込むとイヤホンで周りの音をシャットアウトするんだけど、今日は気になる声が聞こえてきたから、つい聞き耳を立てた。



ウキウキした若い女の子同士の会話だ。
若いってもわたしより年上の、大学生らしき風貌の2人組。





「昨日さ、神野さんにやっとカラーしてもらったよー」

「まじで?予約してどれくらい?」

「半年〜!髪伸びすぎてリタッチどころじゃねーっつーの」



キャハハと笑うお姉さん達の声を聞きながら外の景色を眺める。




「相変わらず愛想ゼロのコールドプリンスだったけどね」

「そこが良いんじゃん。だーれにもなびかない感じがね」




やっぱり。
コールドプリンス。
冷たい王子様。




愛想ゼロ、で今日のわたしが言われた事を思い出した。


神野さんは、それをプラスで褒められて。
わたしは、それをマイナスで貶されて。






わたしは神野さんの顔を思い出そうとすると、ニコニコした柔らかい印象が強い。

ただ世間の印象は真逆みたいだけど。

< 17 / 20 >

この作品をシェア

pagetop