太陽に愛された向日葵
「ただね、昨日、初めて神野さんが笑ったとこ見たって人がいたらしくて」
「えっ?!神野さん、笑ったの?!」
やばーい!詳しく!なんてきゃっきゃと騒いでるのを聞き、ギクリとする。
「わたしも笑った顔は見れてないんだけど、どうやら女子高生を施術してた時に笑ってたらしい」
「じょ、女子高生?!やだー、神野さんの笑顔見たいー!」
「彼女じゃないだろうし、相当顔整ってたらしいから神野さんの妹さんか何かじゃないかって皆噂してる」
「え!神野さんの妹って…絶対美人じゃん!」
………や、やばい…。
そうか。考えてみれば確かに、笑わない王子様、って言われていたからそりゃ笑えば注目されるんだろうな。
だから昨日わたしあんなに視線感じてたのか。
「シャンプー担当してくれたアシスタントの女の子曰く、その女子高生新規のお客さんだったから神野さんに関係性聞いてみたけど無視されたらしい」
「ほぁ〜!謎。誰なんだろうね。神野さんが唯一笑いかける女の子って」
知らないんだよ。
わたしが一番謎だよ。
わたしは神野さんの妹でもないし彼女でもない。
顔も崩れてはいないけど整ってもいない。
誰が何か流すと、すぐ広まっていくんだ。