太陽に愛された向日葵
今度こそ制服で、家を出た。
今日から新学期。
わたしは高校2年生になる。
別に2年生になったところで何かが変わる
わけでもないし、いつも通りの朝だ。
いつも通り満員電車に乗り込み、
いつも通り降車する。
朝の満員電車には、いつまで経っても慣れない。
改札口付近で人の波と一緒に移動していると、
前に歩いていた長い髪のお姉さんが勢いよく振り返った。
そのせいでぶわっと舞った髪がわたしの顔を叩く。
シャンプーの匂いがしたとか以前に、
ふつうに痛い。
お姉さんはそれに気づかずに、わたしの後方で
見つけたお友達と合流してたのしげだ。
わたしも、胸下まで伸びた髪をさわりながら、
「切ろうかなぁ」
なんて誰にも聞こえないようにつぶやいた。