太陽に愛された向日葵





その日のお昼休み。

購買でわたしの好きなチョココロネを買って、中庭にある自販機で飲み物を選んでいる時だ。


1人だと、やはり声はかけられやすい。




「志麻さん?」


名前を呼ばれて見ると、アイドルのような雰囲気の可愛い女の子が眉間にしわを寄せて立っていた。


あ、小鳥遊くんの彼女。
これやばいやつじゃない?



「うん。そうだけど」

「あのさ、ヒロキ、誘惑するのやめてよ!わたしの彼氏なんだけど!」



ヒロキ…?
あぁ、小鳥遊くんの下の名前か。



ミルクティーのボタンを押してペットボトルを取り出すと、小鳥遊くんの彼女を真っ直ぐ見た。





「わたし小鳥遊くんのこと全く興味ないよ。何を知って勘違いしたのか知らないけど、小鳥遊くんの下の名前がヒロキだってことも初耳だし」

「え、そうなの?」

「うん。それにマネージャーさん。あなた可愛いから愛想尽かされないよ。大丈夫」



可愛い、に反応した彼女はそれまでの目つきが嘘のように輝く。


表情がコロコロ変わる子は可愛い。
恐らく、愛され女子と呼ばれるのはあなたとか秋ちゃんとかそういう女子だよ。



「わたしみたいな愛想ない女、心配しなくてもモテないから」




だからどうか、そっとしといてくれ。

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