Last Letter~手紙がくれた想い~
『悪いのは木村じゃない!
弘斗。今のあんたはものすごく、格好悪いよ
やっぱり、あたしは木村を好きになってよかった。
弘斗より木村のほうが数倍も数百倍も格好いいんだもん』
弘斗は俺の胸ぐらを離し、壁にもたれかかる。
「そうだな…
俺、格好悪いよな…
ごめん、大樹。俺、どうかしてた。
香織のこと…頼んだ」
そう言った弘斗の目からは涙が零れていて、そのままどこかへ行ってしまった。
本気で村瀬のことが好きなんだ、と思った。
そして村瀬も弘斗と同じように泣いていた。
『木村…あたし、あんたのこと好きだよ。
ホントに。本気で。
あの日、妹の余命が宣告された日。
なんだか分かんないけど、ヤバかった。
あのとき、木村に逢えてすごく気が楽になって。
好きだなー…って、なんの根拠もなしに思った。
だから…よかったら、あたしと付き合ってください』
村瀬の目は本気で。
でも、俺はその告白に答えることはできないんだ。