Last Letter~手紙がくれた想い~
「木村、お前…白紙提出なんて度胸あるよな」
担任は俺を睨む。
あ…そうだった。
俺、進路希望…白紙で出したんだ…
「すみません」
とりあえず頭を下げる。
「お前、進学するんだろ?」
担任の顔を見ると進学しろよ…的な顔で。
俺に…意見は言わせてくれないのか?
「俺…音楽、続けたいんです」
そう言うと担任は露骨に驚いた顔をして。
「お前…勉強できるのに大学行かないのか?」
ゆっくりと縦に首を動かすと
耳に担任の特大溜め息が聞こえてきた。
「専門学校…行きます」
実は専門学校へ行くことを少し前から考えていた。
俺の取り柄は音楽。
そのことは自分でも分かっていた。
それに音楽が好きだから。
そして…悠香も音楽が好きだと言ったから。
単純な理由だ、ってことくらい承知してる。
でも、俺はそうしたい…と、純粋に思えたんだ。