Last Letter~手紙がくれた想い~






『大樹くん?笑って?』


ソファが沈む。

長瀬さんが俺の横に座ったんだ。



『私ね?この職業…好きなんだ。
自分の転職だ、ってそう思ってる。

でも、辞めたいな、そう思うときもあるんだ』


俺の背中に温かい手のひらが乗った。



『ここに来る患者さん、みんながみんな元気になって
家に帰って行く…なんてことばかりじゃなくて。

せっかく仲良くなったのに…
亡くなっちゃう患者さんだっている。


すごく、辛い

辞めたいな…ってそういう場に居合わせると思っちゃう。


でも逃げ出さずにまだ看護師やってられるのは、
やりがいがあるから。

元気に退院していってくれる人がいるから。
『ありがとう』って言ってくれる人がいるから。

だから、今日もこうして私はここに立っていられるんだ。』


正直、長瀬さんが俺に何を教えてくれようとしたのかは分からなかった。

でも、胸が熱くなって今にも涙が零れそうで。


唇をかみしめる。



『悠香ちゃん、元気になるから

絶対に…また、元気になるから


だから、頑張ろ?
大樹くんが頑張ってたらきっと、悠香ちゃんはもっと頑張れる。

ね?大樹くん』


そうだ。

そうだよな。


俺が頑張らなくちゃ。

悠香を支える、そう決めたんだから。






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