Last Letter~手紙がくれた想い~
『悠香ちゃん?
ダメよ?おかしなこと考えちゃ
大樹くんが悲しむわ
それに何を言っても大樹くんは別れようとはしない』
え?と、声を出そうとした。
でも、声が出ない。
ただ、長瀬さんはそれを読みとったらしく笑いながら
『あの子は悠香ちゃんが好きで好きでたまらない。
病気だからって
もう、治らないかもしれないからって
離れて行こうとする子じゃない。
あの子は…大樹くんはすごいわ
悠香ちゃんしか見てないから。
……見えてないから
だから悠香ちゃん『でも』
あたしはかすれる声で長瀬さんの言葉を遮る。
『でも…あたしは…もう…治ら…ない…
それ…に…髪の…毛…だって…もう…ない…
だいき…くん…の…ために…も…
あたし…の…ために…も…
別れ…る…べき…じゃ…ない…の…』
喋り終えると急に苦しくなった。
長瀬さんはあたしの背中をさする。
『違う、それは違うわ
大樹くんはあなたの容姿を好きになったワケじゃない。
外見ではなく、中身…中身を好きになったの。
だから髪の毛がなくたって
そんなことは大樹くんに関係ない。
悠香ちゃんが悠香ちゃんでいる限り、
大樹くんはずっとあなたが好きなの』
苦しさのせいか
長瀬さんの言葉のせいか
涙が止まらなかった