Last Letter~手紙がくれた想い~
そうすると悠香はスケッチブックをめくる。
そこにはまだ続きがあった。
『よろしくね!!』
と、たった一言だけ。
俺はどうすることもできなくてまた、
「読めたよ」
のサインを送った。
そして部屋に戻る。
何やってんだ、俺。
一生懸命、双眼鏡探して
ジェスチャーやって
挙げ句の果て、もう6時じゃないか。
30分も……
「春樹、起きろよ」
俺は急いで春樹を起こし、朝食の用意をする。
『あら、あんた今日は遅いわね。
珍しく寝坊でもしたの?』
珍しくと、言いたいのはこっちのほうだ。
「母さんこそ、珍しく起きてるじゃないか」
いつもならソファで寝ているクセに。
『別にあんたに関係ないじゃない。
じゃあ、寝るわ』
母さんはリビングの奥へ行ってしまった。
結局、俺のことはどうでもいいんだよな。
もう何年もこの淡い期待を捨てきれずにいる。
母さんに話しかけられる度に
「いつもありがとね」
と、言う言葉を期待してしまっているんだ。
今まで1度も言われたことのない、この言葉を。